コンピュータが校正を助ける時代 2003.07.
 

 編集者稼業などしていると,一冊の本の中で表記や用語の統一を取るために多大な時間と苦労を費やすことがあります。本来単純な表記統一に関してはできるだけコンピュータの力を借りて短時間で済ませてしまい,編集者は,その本業である原稿の内容吟味や編集作業に費やすべきでしょう。
 ことに近年の,出版不況と言われる状況の中では一層です。「割に合わない技術書づくり」(朝日新聞コラム)などにも,ことに少部数(専門書の場合だと特に顕著ですが)の出版の厳しいことが書かれています。

 未來社の西谷能英氏は,そういった状況の中で,「テキストデータをコンピュータにチェックさせて表記統一」を行うことによって,「組版入稿前に完全原稿を作る」メソッドをまとめて『出版のためのテキスト実践技法/執筆篇』『同/編集篇』という書籍にまとめたほか,「未來社アーカイヴ」としてオンラインで公開されています。

 これは基本的には,著者・記者から上がってきた原稿の文字データを,編集段階で一括処理する方法ですが,これとは逆に,「執筆段階で表記を統一する」方法もあるわけです。
 これはハウスルールに則った表記・用字法が求められる新聞・雑誌社などの編集者・記者にとって需要が高いものですが,最も基本的な方法としては「表記統一リスト」を作成し,それを参照しながら,外れないように書く,というものが挙げられます。

 ですが,ここもコンピュータに補助させることによって,記者・著者サイドの負担が軽くなるのも事実です。従来,新聞社などでは自社の表記統一ルールを日本語変換システムのユーザー辞書の形でまとめていましたが,これをさらに一歩進めたシステムが一太郎やATOK(ATOK)で有名なジャストシステムから発表されました。

“辞書作成支援ツールで社内独自のATOK辞書を作ることで、特殊な社内用語を変換したり、「コンピュータ」と「コンピューター」というような単語表記の揺れを日本語変換時にリアルタイムに表示される指摘によって防ぐことができ、企業内で使われる様々な単語の統一を図ることができる。”(MYCOM PC WEB ---News原文) とのことで, 出版ではなく企業文書の作成に関しても有効なのではないでしょうか。



 関連情報
 「社内用語の変換や表記の統一を図るATOK用辞書配信システム発売」 ---MYCOM PC WEB 2003.07.10.
 「割に合わない技術書づくり」 ---朝日新聞 asahi.com 2003.06.30.
 「東京バイツ【第86回】ネット上で増殖する辞書、そして紙の辞書の死」---福冨忠,MYCOM PC WEB 2002.05.29.

 関連サイト
  未來社アーカイヴ---西谷能英,未來社




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